施工図の仕事で一番怖いのは、古い図面を納品してしまうことです。
データが散らかっていると、これが起きます。デスクトップに「最新」「最新2」「本当の最新」が並んでいる状態は、事故の一歩手前です。
ファイル管理は地味な話ですが、品質にも作業効率にも直結します。今回は、3年間で固まった自分の整理方法を書きます。
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ファイル管理の目的は3つだけ
凝った仕組みを作る必要はありません。押さえるべきことは3つです。
目的 01
最新版が一目でわかる
どれが今の正解かで迷わない。誤納品を防ぐ最大の対策
目的 02
過去の案件をすぐ探せる
類似案件の図面は見積や納まり検討の資産になる
目的 03
データを失わない
PCが壊れても仕事が止まらない状態にしておく
ファイル管理は「きれいに並べること」が目的ではありません。迷わない・探せる・失わない。この3つだけです。
フォルダは案件ごとに切る
基本は1案件1フォルダです。その中を用途別に分けます。
案件フォルダの中身
| フォルダ | 入れるもの |
|---|---|
| 01_支給資料 | クライアントから受け取った意匠図・構造図など |
| 02_作業中 | 編集中のCADデータ。最新版はここに1つだけ |
| 03_納品 | 実際に提出したデータ。提出日ごとに分ける |
| 04_質疑 | 質疑一覧と回答。やり取りの記録 |
| 99_旧版 | 使わなくなったデータの退避先 |
頭に番号を振っているのは、並び順を固定するためです。名前順に並べたときに、作業の流れどおりに並びます。
そして旧版フォルダを「99」にして一番下に置くのがポイントです。古いデータを削除せずに残しつつ、目に入りにくい場所へ追いやる。削除してしまうと経緯が追えなくなるので、退避が正解です。
ファイル名のルールを決める
フォルダ以上に重要なのがファイル名です。ここが崩れると、どれだけフォルダを整理しても意味がありません。
日付は必ず先頭に入れる
YYMMDD形式で先頭に置くと、名前順で自動的に時系列に並びます。「最新」「最終」「修正版」といった言葉は使いません。
崩れる名前
- 平面図_最新.dwg
- 平面図_最新2.dwg
- 平面図_修正版.dwg
- 平面図_これ.dwg
崩れない名前
- 260810_平面図.dwg
- 260814_平面図.dwg
- 260820_平面図.dwg
- ——最下段が常に最新
「最新」という言葉は、時間が経つと必ず嘘になります。日付は嘘をつきません。
クライアントの指定がある場合はそちらを優先
納品するファイルについては、相手の命名ルールに従います。自分の管理用の名前と、納品用の名前が違ってもかまいません。
納品フォルダに入れる時点で相手のルールにリネームする。この一手間で、先方の手間がなくなります。
作業中のデータは1つだけにする
これが誤納品を防ぐ一番の対策です。「02_作業中」に置くファイルは、常に1バージョンだけにします。
作業の区切りで保存し直したら、前のファイルは即座に「99_旧版」へ移動する。作業中フォルダを開いたときに選択肢が1つしかなければ、間違えようがありません。
迷いが生まれるのは、選択肢が複数あるときです。選択肢そのものをなくすのが確実な対策になります。
ミスを防ぐには、注意深くなるより「間違えられない仕組み」にするほうが早い。施工図のチェックと同じ考え方です。
バックアップは2箇所以上
フリーランスにとって、データの消失は仕事の消失です。PCが1台壊れただけで納品できなくなる状態は、リスクが大きすぎます。
バックアップの考え方
- ローカル+クラウドの2系統——片方が使えなくなっても作業を継続できる
- 自動で同期させる——手動バックアップは必ず忘れる
- 納品データは特に厳重に——「何を出したか」の記録は後から作れない
- 復元できるか一度試す——バックアップは復元できて初めて機能する
クラウドを使う場合は、クライアントの情報管理ルールを確認してからにしてください。取引先によっては、外部サービスへのデータ保存に制限があります。ここは自己判断せず、事前に確認するのが安全です。
案件が終わったらアーカイブする
完了した案件は、作業用の場所からアーカイブ用のフォルダへ移動させます。年ごとに分けておくと探しやすくなります。
削除はしません。過去の図面は、次の見積や納まり検討で使える資産だからです。「あの物件と似たような納まりだったな」と参照できることが、そのまま作業スピードにつながります。
ただし、クライアントとの契約でデータの保管期間や取り扱いが定められている場合は、それに従います。特に守秘義務のある案件は要注意です。
まとめ
- ✓目的は3つだけ——迷わない・探せる・失わない
- ✓1案件1フォルダ。番号を振って作業の流れどおりに並べる
- ✓「最新」は使わない。日付を先頭に入れれば時系列で並ぶ
- ✓作業中フォルダのファイルは常に1つ——選択肢をなくす
- ✓バックアップは2系統。クラウド利用は取引先のルールを確認する
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